初心者キャンパーにとって、焚き火の火おこしは少々ハードルが高く感じられるかもしれません。一度火おこしに失敗してしまうと、苦手意識を持ってしまう方もいます。
しかし、火おこしは正しい手順やポイントを押さえることで、かんたんにできます。
本記事では、以下の内容をお伝えします。
焚き火の火おこしで失敗したくない方は、ぜひ最後までご覧ください。
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焚き火の火おこしには「薪」を使う
焚き火の火おこしは「薪」を使うのが基本です。
BBQのように木炭を使って焚き火をしようとすると、容易に着火しないため失敗する可能性が高いです。
もし薪と木炭の両方使って焚き火をしたい場合は、薪で火おこしして火を育ててから、木炭を入れるようにしましょう。
薪と木炭の違いとは
薪と木炭の違いは、次のとおりです。
- 薪
-
針葉樹や広葉樹などの幹を「そのまま切り出した」もの
- 木炭
-
薪を「じっくり時間をかけて燃やし炭化させた」もの
以下の表では、薪と木炭の違いをまとめています。
薪 | 木炭 | |
焚き付け | ○ | × |
火力の安定 | × | ○ |
火力の調整 | △ | ○ |
使用用途 | 焚き火におすすめ | 調理におすすめ |
薪と木炭は、火力の安定や調整のしやすさに違いがあることから、使用用途が異なります。
例えば、薪の場合だと燃えやすいので火おこしはかんたんですが、火力の調節がしにくいです。一方、木炭の場合、火おこしは難しいものの、一度火がついてしまえば火力が安定しやすいというメリットがあります。
このような違いがあるため、「薪=焚き火が最適」「木炭=調理が最適」と覚えておきましょう。
焚き火の火おこし|失敗しない3つの手順を解説!
火おこしの手順はシンプルなので、手順どおりにおこなえば初心者でもかんたんに火おこしができます。
火おこしに必要なアイテムは以下のとおりです。
- 焚き火台
- 着火剤
- 薪
- 耐熱グローブ
- ライター
- 火ばさみ
必要なアイテムを準備して、これから紹介する4つの手順を覚えておきましょう。
手順1 焚き火台に薪を組む
まずは焚き火台に薪を組みます。
どのような焚き火台を使うかは、好みで選んでOKです。焚き火台の違いで、火おこしの難易度が変わることはありません。
代表的な薪の組み方は、以下のとおりです。
並列型 | ・火力調整しやすい ・鉄板・網焼き調理したいときにおすすめ |
井桁(いげた)型 | ・火力が強い ・炎を楽しむ観賞用におすすめ |
インディアン型(開き傘) | ・火が長持ちしやすい ・煮込み料理など長時間調理したい場合におすすめ |
ティピー型(閉じ傘) | ・炎を楽しむ観賞用におすすめ ・焚き火用三脚「トライポッド」を使って調理するときにおすすめ |
薪を組むのに慣れていない場合は、一般的な組み方の「井桁型」がおすすめです。
下から互い違いに組んでいって、真ん中のスペースに着火剤を入れればOKなので、火おこしに慣れていない方でも取り組みやすいです。
薪を組むときは、下から上に空気が流れることを意識して薪を組んでいきましょう。
以下の記事では、薪の組み方について詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
>>焚き火の薪の組み方4選|木の種類や必要量の目安、注意点も紹介
手順2 着火剤を配置する
薪を組んだあとは、薪の下に着火剤を配置して、引火しやすいようにします。
炎は真上に向かって上がります。
薪の上に着火剤を配置しても意味がないので注意してください。
着火剤には、小枝・松ぼっくり・市販の着火剤を使うとスムーズです。市販の着火剤の種類については後述するので、そちらもご覧ください。
手順3 焚き付けをする
薪と着火剤の配置が完了したら、火をつけます。
基本的には「薪を正しく配置→着火剤を使って焚き付け→放置」すれば、火おこしは成功します。
焚き付けを始めたら、着火剤を移動させたり薪を組み直したりするのはNGです。火力が分散してしまうので、焚き付けに失敗する可能性が上がります。
薪を触りたくなっても我慢して、炎が育っていくのをじっと待ちましょう。
なお、焚き付け後、焚き火を使って調理をしたい場合は、熾火(おきび)状態になるまで待つ必要があります。
熾火とは、薪が炭化して赤く燃えている状態のことを指します。
熾火の作り方や注意点は、下の記事で画像付きで解説しているのでぜひ参考にしてください。
>>熾火の作り方と注意点。熾火を作りやすい焚き火台の特徴も紹介
焚き火の火おこし3つのポイント
火おこしを成功させるために押さえておきたいポイントは3つです。
それでは各ポイントを詳しく解説します。
ポイント1 乾燥した薪を使う
ホームセンターで販売されているような乾燥した薪を使えば、小さな種火でも焚き付けできます。なぜなら、乾燥している薪は水分量が少なく燃えやすいからです。
薪が乾燥しているか確認したいときは、手にとって持ち上げてみてください。乾燥した薪は水分を含んでいないので、見た目よりも軽く感じる特徴があります。
キャンプ場に落ちている枝を利用する際、乾燥しているか確認したいときは折ってみましょう。
ポキっとかんたんに折れるなら、乾燥している証拠です。逆に、グニャっと曲がったら水分を含んでいる状態です。
濡れたり湿気たりしている薪は着火しにくいので、初心者向けではありません。初心者向けの乾いた薪はホームセンターで販売されているので、事前に購入しておくのがおすすめです。
ポイント2 市販の固形着火剤を使う
市販の着火剤には固形と液体の2種類あります。初心者の場合は、継ぎ足しや配置がしやすい固形の着火剤を使うのがおすすめです。
それぞれの着火剤のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
固形の着火剤 | ・燃焼時間が長い ・継ぎ足ししやすい ・配置しやすい |
・保管に気を配る必要がある |
液体の着火剤 | ・着火しやすい ・量を調整しやすい |
・取り扱いに十分注意する必要がある |
固形タイプの着火剤には、燃焼時間が長く継ぎ足しもかんたんで、薪を組んだあとにも動かしやすいというメリットがあります。デメリットは、濡れてしまうと火が付きにくくなることくらいなので、保管方法に注意すれば問題ありません。
一方、液体タイプの着火剤のメリットは、揮発性が高く着火しやすいことや、必要な量を細かく調整しやすいことが挙げられます。ただし、すぐに引火して燃え広がるので、取り扱う際は十分注意しなければいけません。
液体タイプの着火剤を炎の上から継ぎ足したとき、火のついた着火剤が飛び散って周りの人に被害が及ぶ可能性もあります。
キャンプやバーベキューをおこなう際、液体着火剤の間違った取り扱いにより、やけどなどの事故も毎年起きています。
液体タイプの着火剤は火がつきやすく便利なアイテムですが、焚き火の火おこしに慣れないうちは固形タイプの着火剤をおすすめします。
ポイント3 薪の組み方を覚える
焚き火の目的やその時々の状況に合わせた組み方を覚えておくと、焚き火の楽しみ方も広がります。
「手順1 焚き火台に薪を組む」でもお伝えしたように、薪を組むのに慣れていない場合は、かんたんに組める「井桁型」がおすすめです。
実際に火をつける前に、薪の組み方を練習しておくとよいでしょう。
参考:火がつかないときはガストーチバーナーを使う
キャンプは屋外でおこなうため、雨が降ったり強風だったりして、上手に着火できないことがあります。そんなときは「ガストーチバーナー」を使いましょう。
ガストーチバーナーがあれば、市販の着火剤を使わなくても、短時間で確実に火おこしができます。
木炭しか準備していなくても、ガストーチバーナーがあれば火おこしが可能です。使用する予定がなくても、万が一のときのために持っていくと役立ちますよ。
焚き火の火おこしをかんたんにする着火アイテム5選
ファイヤースターター・マッチ・ライターだけでは火力が弱いため、太い薪に着火できません。そのため、火おこしには火種が必要です。
ここでは、多くのキャンパーが実際に使っている火種を5つ紹介します。
アイテム1 市販の着火剤
市販の着火剤は、100円均一でもかんたんに入手できる定番アイテムです。
非常によく燃えて火おこしをかんたんにしてくれる必需品なので、準備しておきましょう。
アイテム2 自然の着火剤
針葉樹の枝や松ぼっくりは、天然の着火剤になります。
針葉樹とは、葉がトゲトゲしている木のことです。針葉樹の下には松ぼっくりが落ちているので、2〜3個ほど集めておくのがおすすめです。
もみじなどの広葉樹よりも、針葉樹のほう燃えやすいため「火おこしに向いている」ということを覚えておきましょう。
アイテム3 フェザースティック
フェザースティックとは薪をナイフで削って自作する、上級者向けの火おこしアイテムのことです。
フェザースティックには針葉樹を使用します。なぜなら、広葉樹よりも針葉樹のほうがやわらかいためナイフが入りやすく削りやすいからです。
硬い広葉樹でもフェザースティックを作れますが、強い力で削る必要があるため、怪我のリスクが高くなります。ナイフ・ナタ・アックス(斧)など刃物を使うので十分に注意してください。
アイテム4 新聞紙
新聞紙はコストパフォーマンスの高いアイテムです。新聞紙1枚をねじって棒状にしてから使用します。
アイテム5 麻紐(ジュート麻)
麻紐は入手がかんたんで持ち運びもしやすいので、使い勝手がよく重宝するアイテムです。着火アイテムとして使用する場合は、手で麻紐をほぐしてから使います。
麻紐はファイヤースターターを使って火おこしをしたいなら必須アイテムです。火種を麻に包んで軽く振ると、すぐに火がつきます。
人気の無骨キャンプを楽しみたいなら、ファイヤースターターと麻紐で焚き付けに挑戦してみるのも楽しいですよ。
上記の火種アイテムは組み合わせて使うこともできる
キャンプスタイル・用途に合わせて着火アイテムを選別しましょう。
例えば、次のような組み合わせがあります。
- ゆっくり火おこしを楽しみたいなら「麻紐+針葉樹」
- 調理のために短時間で火おこしをしたいなら「固形着火剤+新聞紙」
- 雨の日で強い火力が欲しいなら「固形着火剤+フェザースティック」
ぜひ参考にして、取り入れてみてください。
WAQでは、底がフラットで薪を組みやすい焚き火台を販売しています。
40cmほどの薪ならカットせずにそのまま置けます。
薪割りの手間が省けるほか、薪をくべやすく火おこしもかんたんに行えます。
焚き火台の購入を考えている方は、ぜひこの機会に公式ストアをチェックしてみてください。
焚き火の火おこし用に「紙薪」を自作するのもおすすめ
火おこしの薪には、新聞紙で作る「紙薪」を活用するのもおすすめです。
紙薪は、新聞紙と水があれば作成可能です。
原材料が新聞紙のみなので、火力が強くなり過ぎず、安全性が高いメリットがあります。
ねじって棒状にして使うときと比べると火持ちもよく、2〜3個作るだけで市販の着火剤のような効果が期待できるので挑戦してみてください。
とくにファミリーキャンプの場合、自作の紙薪を作っていくと遊びながら楽しいキャンプができます。
紙薪を作るために必要なアイテムは以下のとおりです。
- 新聞紙
- バケツ
- 丸い棒
- サランラップ
それでは、作り方の手順を画像つきで解説します。
水バケツに新聞紙を入れて、新聞紙に水分を含ませます。
このとき、水を使っても、お湯を使っても、どちらでも問題ありません。
手で触ったときにやわらかくなっていれば成功です。
丸い棒にサランラップを巻いて、やわらかくなった新聞紙を巻いていきます。画像のように、新聞紙がちくわのような筒状の形になれば成功です。
サランラップを巻いておくと丸めた新聞紙が抜きやすくなるので、忘れずに巻いておきましょう。
筒状になった新聞紙の薪をいくつか作成したら、太陽が当たる場所でしっかり乾燥させます。
持ち上げたときに軽くなっていれば完成です。
完成した紙薪は、1〜2個使って火種にしたり、5〜6個使って紙薪だけで焚き火したりして使います。
焚き火の火おこしの3つの注意点
初心者キャンパーが間違えやすい火おこしの3つの注意点を解説します。
注意点1 火吹き棒を正しく用いる
火おこしで火吹き棒を使う場合は、ゆっくりと長く空気を送るイメージで使いましょう。
火吹き棒を使って「強めの風」を送ろうとするのは間違った使い方です。
焚き付け直後に火吹き棒で勢いよく風を送ってしまうと、息で火を消化してしまいます。
火吹き棒を使うタイミングは、薪が炭化し赤く静かに燃えている熾火(おきび)状態になってからです。
火吹き棒の使い方・タイミングを間違えると逆効果になることを覚えておきましょう。
注意点2 不必要に薪を動かさない
焚き付け直後に薪をすぐに動かすのは間違いです。なぜなら、薪を動かすと火が分散して消えてしまうからです。
薪を動かすタイミングは「組んだ薪が崩れてから」です。最初に組んだ薪が崩れたら、太い薪を1つずつ追加していきます。じっくりと時間をかけて、火が育つのを待ちましょう。
注意点3 細い枝から順番に火を育てていく
弱い火力では太い薪に着火できないので、太い薪だけを使って火おこしすると高い確率で失敗します。そのため、細い枝から焚き付けてください。
細い枝を使う際は、油分の強い針葉樹を使うと太い薪が燃える火力になります。ただし、針葉樹を使いすぎると火力が高くなり過ぎるので、取り扱いには注意しましょう。
火が大きく育つ頃には、燃え尽きた薪が徐々に灰になっていきます。
焚き火を終えたら後始末をしっかりおこないましょう。以下では、焚き火の後片付けの手順や注意ポイントについて解説しています。
>>【画像付き】焚き火の後始末の手順をわかりやすく解説!役立つ5つのアイテムも紹介
焚き火の火おこしは準備が大切
何も調べずになんとなくのイメージだけで焚き付けをすると失敗する可能性が高いので、火おこしの準備は徹底しましょう。
今回紹介したように、ホームセンターなどで売られている乾いた薪とガストーチバーナーがあれば焚き火は成功します。準備さえしておけば失敗の可能性は限りなく0にできます。
上手に火おこしができないとキャンプの楽しさが半減してしまうので、事前にしっかりと準備をしてから出かけましょう。
なお、焚き火が成功するか失敗するかは、薪の種類や状態によって左右されます。以下の記事では、薪の種類をはじめ、「薪はどこで入手できるのか?」や「薪代を安く済ませる調達方法」などを紹介しています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。
>>焚き火の薪はどこで買う?安い調達方法と使い方、種類や量【徹底解説】