ガス缶は調理用バーナーやガストーチ、ガスランタンなど、アウトドアで使われるさまざまなキャンプ用品の燃料のひとつです。このガス缶には「CB缶」と「OD缶」の2種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。
そこでこの記事では、次の内容をわかりやすく解説します。
- CB缶とOD缶の違い
- CB缶用とOD缶用のバーナーの違い
- ガス缶使用時の注意点
キャンプの快適度をアップさせてくれるガス缶について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
WAQでは、バーナー周りの細々とした小物をひとまとめにできる収納BOXを販売しています。
散らかりがちなテーブル周りをスッキリ整理できて「あれどこに置いたっけ」と探し物をする時間もなくせるようになりますよ。
ご興味のある方は商品詳細をご覧ください。
キャンプ初心者でも扱いやすい燃料の「ガス缶」
キャンプや登山などアウトドアで使われる燃料には、主に下記のものが挙げられます。
- ガス缶
- ガソリン
- オイル
- 薪
- 炭
このなかでも「ガス缶」は、初心者でも扱いやすくて、メリット満載のおすすめの燃料です。
「CB缶」と「OD缶」の違い
ガス缶は「CB缶」と「OD缶」の2タイプに分けられます。CB缶は「Cassette Gas Bombe」、OD缶は「OutDoor」の略です。
それぞれメリット・デメリットがあり、装着して使う器具は「CB缶」か「OD缶」どちらかのタイプしか使えません。そのため、どちらのガス缶を使いたいかを考慮して、ガス器具を選ぶ必要があります。
自分の使いやすいタイプはどちらかを見極めるために、メリットデメリットをしっかりと押さえておきましょう!
「CB缶」の特徴とメリット・デメリット
「CB缶」の一番の魅力はコスパのよさです。安いものでは100円台で購入できます。家庭用のカセットコンロで使用されるため、スーパーやコンビニ、100円ショップなどで気軽に購入できる点もメリットです。
ただし一般的に販売されているCB缶やCB缶専用ガス器具は、屋内の安定した環境での使用を想定して作られているため、火力はそれほど強くありません。強風時は調理器具に熱が伝わりにくく、食材がなかなか加熱できないことがあります。
また気温が10度を下回ると、主成分である「ブタンガス」が気化しにくくなり、火力が急激に低下する「ドロップダウン」を起こします。さらに5度以下になると、ガスがまったく気化しなくなるため使用できません。そのため、一般的に販売されているCB缶は、冬キャンプや標高の高い場所での使用は不向きといえます。
長時間使用もCB缶の「ドロップダウン」の原因です。たとえ夏場だとしても、ブタンガスの気化熱によりガス缶自体が冷えてしまい、残ったガスが気化しにくくなり火力が急激に低下します。
ガス缶ができるだけ冷えないように「カバー」をかけると、ドロップダウンが起きにくくなりますよ。
後述しますが、CB缶のなかにもアウトドア向けの「パワーガスタイプ」があります。CB缶専用ガス器具にも高出力なものもあるので、必要に応じて使い分けるのがおすすめです。
「OD缶」の特徴とメリット・デメリット
「OD缶」は、OD缶専用ガス器具を含めてアウトドアの過酷な環境を想定して作られています。
中身は「ブタンガス」に加え、寒さに強い「イソブタンガス」や「プロパンガス」を配合しているため、寒冷地や標高の高い場所でも使用でき、安定した火力を維持できます。
さらに容量のサイズ展開が豊富な点も魅力。次の3サイズのなかから、自分のキャンプスタイルに合うサイズが選べます。※サイズの呼称や容量はメーカーによって若干異なります。
- 105/110サイズ
- 230/250サイズ
- 500サイズ
「日帰りや一泊でかんたんな調理をするだけ」「徒歩キャンプや登山など荷物をできるだけ軽くしたい」場合は、105/110サイズを選ぶとよいでしょう。
「本格的なキャンプ料理を楽しみたい」「連泊キャンプ」の場合は、230/250サイズを。「ランタンの燃料にしたい」「ファミリーキャンプやグループキャンプなど複数人で料理を楽しみたい」場合は、500サイズを選ぶと安心です。
価格はCB缶に比べて高価で、CB缶同様の250サイズのもので500円以上になります。※2024年11月現在
また購入できる場所は、アウトドアショップ・ホームセンター・通販などに限られています。コンビニやスーパーでも入手できるCB缶と比べると入手先が限られるので、事前に購入しておくようにしましょう。
参考:寒冷地や標高の高い場所には「パワーガス」がおすすめ
「CB缶」「OD缶」どちらも、非常に寒い環境ではドロップダウンが起きます。
冬キャンプや高山など非常に寒い環境で使用するなら、低温でも出力が落ちない「パワーガス」タイプのガス缶がおすすめです。
パワーガスには、レギュラータイプに比べ低温でも気化しやすい「プロパンガス」が多く配合されています。CB缶とOD缶どちらもパワーガスタイプが販売されています。
ガス缶を使うガス器具が初心者でも使いやすい3つの理由
ガス缶がキャンプ初心者におすすめな理由は以下のとおりです。
- コツがいらない
- 火力調整しやすい
- 持ち運びしやすい
理由1 コツがいらない
ガス缶をセットして使うガス器具は、特別なコツがいらず、誰でもかんたんに扱えます。
例えば、ガソリンバーナーは火力の強さが魅力ですが、使用前にポンプノブを上下させる「ポンピング」でタンク内の圧力を高める必要があるうえ、火力を安定させるのにもコツが必要です。
対してガスバーナーは、ガス器具にセッティングしてスイッチをひねればすぐ点火して使えるようになります。
理由2 火力調整しやすい
2つ目の理由は「火力調整」しやすいことです。焚き火で料理する場合、火を強くしたり弱くしたりするのにはかなり時間がかかり、うまくコントロールするのは難しいものです。一方ガス器具は、つまみを調節するだけで、かんたんに火力調整ができます。
理由3 持ち運びしやすい
3つ目の理由として挙げられるのは「持ち運びやすさ」です。薪などほかの燃料に比べてコンパクトかつ軽量で持ち運びしやすく、徒歩キャンプや登山でのテント泊にも向いています。
ガス缶を使うキャンプ用ガス器具の種類
ガス缶を使うアウトドア用のガス器具には、以下のようなものがあります。
- シングルバーナー
- ツーバーナー
- ガスランタン
- ガスストーブ
それぞれの特徴や使用シーンを紹介します。
種類1 シングルバーナー
「シングルバーナー」は、コンロが1つだけのバーナーです。
軽量でコンパクトに収納できるものが多いので、徒歩でのソロキャンプやキャンプツーリング、登山に向いています。またオートキャンプや大人数でのキャンプでも、サブコンロとして1つあるとコーヒーを淹れるときなどに便利です。
なお、シングルバーナーは「CB缶用」と「OD缶用」で使い勝手が異なります。記事の後半では、これらのシングルバーナーについてくわしく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「WAQ MULTI BURNER BOX」はシングルバーナーの収納におすすめです。
3枚の可動式の仕切り版でフレキシブルに内部を仕切れるので、シングルバーナーや調理器具などテーブル周りで使う小物をスッキリ収納できます。
サイズはタテ16cm×ヨコ27cm×高さ22cmで、CB缶が縦にすっぽりと入ります。
ボックス側面に面ファスナー付きのベルトが付属しており、テーブルやチェアのサイドに取り付けが可能。
よく使うアイテムを手元に置いておけるので、キャンプ料理の効率もぐっと上がりますよ。
シングルバーナーやガス缶と一緒に、テーブル周りの小物も収納したい場合には「WAQ SIDE GEAR BOX」がおすすめ。
サイドに面ファスナー付きのベルトが付いており、チェアやテーブルなどに装着可能。ごちゃごちゃしがちなテーブル周りをスッキリした状態に保ちます。
中材に、クッション性の高いウレタン素材を採用。ランタンやシングルバーナーなど、衝撃に弱いギアも安心して収納できます。また可動式の2枚の仕切り版付きで、中身に合わせてスペースを調整できます。
側面には、2つのサイドポケットやさまざまなギアをかけられるウェビングテープを配置。使用頻度の高いギアを取り出しやすく収納できますよ。
種類2 ツーバーナー
コンロが2つあるバーナーは「ツーバーナー」と呼ばれます。コンロ1つに対して1つのガス缶を使用します。
収納サイズは大きめなので、オートキャンプ限定のバーナーです。ファミリー・グループキャンプで一度にたくさんの量を調理するのに活躍します。
種類3 カセットコンロ
家庭で鍋料理などに使う「カセットコンロ」は、もちろんキャンプでも使用できます。
カセットコンロは誰でも取扱いがかんたんなうえ、フライパンなど自宅で使っている調理器具も使えます。そのため、まだまだキャンプ用品のそろっていない初心者にもってこいのアイテムです。
ただしカセットコンロは屋内での使用を想定しているため、風に弱いデメリットがあります。風に強いアウトドア用カセットコンロの購入や、風除けになる「風防」と一緒に使う方法もおすすめです。
種類4 ガスランタン
キャンプの照明であるランタンにもガス缶を使用するものがあり、「マントルを使うタイプ」と「マントルが不要なタイプ」の2種類に分けられます。
マントルを使うタイプ | マントル不要のタイプ | |
燃焼方式 | 炎の熱に反応したマントルが光を放つ | ガスが直接燃焼して光を発する |
特徴 |
非常に明るく、広範囲を照らせるためメインランタンとして最適 マントルの交換、空焼きの作業が必要 マントルが壊れやすいので慎重な取り扱いが求められる |
炎のゆらめきを楽しめる 柔らかな明かりで、テーブル周りなどサブランタン向き マントルを使用しないため、破損のリスクが少なく扱いやすい |
使用シーン | 複数人でのキャンプや夜間作業時に最適 | 卓上ランタンとして、キャンプの雰囲気作りに最適 |
マントルを使うタイプでサイズが大きめのものは、ガソリンランタンの明るさにはおよばないものの、テントサイト全体を照らすメインランタンとしての役割を十分果たします。ただし、マントルの交換や空焼きなどの作業や、炭化したマントルは壊れやすいので慎重な取り扱いが必要です。
一方、マントル不要のタイプは、つまみを回すだけで点火できて、メンテナンスもさっと拭くだけでOK。専門的な知識やコツもいらないので、初心者でもかんたんに扱えます。
明るさを重視するなら、広範囲で強い明かりを放つマントルを使うガスランタンがおすすめ。夜キャンプの雰囲気作りや扱いやすさを重視するなら、マントル不要のガスランタンが最適でしょう。
種類5 ガストーチ
強い炎を噴射する「ガストーチ」。焚き火やBBQの火起こし、料理に焼き目を付けるのに使えます。
火起こしにかかる手間を減らせるだけでなく、いつものキャンプ料理をかんたんにワンランクアップできるので、1つ持っておくと便利なアイテムです。
種類6 ガスストーブ
冬キャンプの暖房として活躍する「ガスストーブ」。薪ストーブよりも扱いがかんたんで初心者向きのストーブです。
燃料であるガス缶はもちろん、ストーブ本体も比較的軽量で持ち運びやすく、力に自信のない方や女性キャンパーにおすすめです。
シングルバーナー「一体型」「分離型」の違い
シングルバーナーは「一体型」「分離型」の2種類に分類されます。
それぞれの特徴やメリット・デメリットをくわしく紹介するので、購入する際の参考にしてください。
「一体型」の特徴とメリット・デメリット
一体型のシングルバーナーは、缶に直接接続して使います。形状の違いから、CB缶用とOD缶用で使い心地に違いがあるので、わかりやすく解説します。
CB缶用 一体型シングルバーナー
CB缶用の一体型シングルバーナーは、ガス缶を横に倒して使います。そのためある程度の調理スペースが必要です。
ただし、ゴトクの位置が低い分、安定感があるのがメリット。ゴトクサイズが大きい製品も多く、画像のような大きめの調理器具も使用できます。
折りたためばコンパクトサイズになるものが多く、携帯性にも優れています。
OD缶 一体型シングルバーナー
OD缶用の一体型シングルバーナーは、テーブル上で場所を取りにくく、非常にコンパクトです。
ただしゴトクの位置が高くなるので安定感には欠けます。ゴトクサイズが小さいものが多く、大きな調理器具を使うのには向いていません。
大きめの調理器具を使用したい場合は、この次に紹介する「分離型シングルバーナー」がおすすめです。
ガス缶の真上で調理することになるため、底の面積が大きい調理器具の使用には注意しましょう。とくに、蓄熱性が高い鋳鉄製のダッチオーブンやフライパンなどの使用は避けましょう。「輻射熱」によってガス缶の温度が高くなると爆発する恐れがあります。
OD缶用の一体型シングルバーナーは、非常に軽量なのが特徴で、収納時は手のひらサイズになります。
クッカーの中に収められるなど、コンパクトに収納できて携帯性も◎。荷物を軽くしたい徒歩キャンプやウルトラライトスタイルのキャンプ、登山におすすめです。
「分離型」の特徴とメリット・デメリット
「分離型」は、CB缶用・OD缶用ともに、ホースと缶をつないで使います。一体型に比べると、しっかりした脚部で重心が低く安定感があるのが特徴です。
またガス缶と離せるので一体型よりも輻射熱の影響を減らせます。
高火力での調理も可能なので、ダッチオーブンや大きめのフライパンなどを使って、ファミリーキャンプやグループキャンプでいろんな料理をたくさん作りたい人に最適です。
ただしホースなどのパーツがある分、収納サイズが大きくなり重くなります。また調理する際のスペースも確保しなければいけません。
できるだけ荷物を軽くしたいウルトラライトスタイルのキャンプや、登山でのテント泊にはあまり向いていません。
「WAQ BURNER MINI TABLE」はSOTOのCB缶用シングルバーナー「ST-310」「ST-340」をインストールできるミニテーブルです。
取り外しできる風防付きで、安定した火力で調理が可能です。風防はゴトクの役割も果たすので、大きめの調理器具も安心して使用できます。
ソロキャンプ用のミニテーブルとして、またファミリーキャンプの調理用テーブルとして活躍します。
さらにWAQのファミリーサイズのテーブル「WAQ MULTI LOWTABLE-F」や「WAQ MULTI IRON TABLE」とも互換性があり、天板1枚と入れ替えてセット可能。
バーナーで調理しながら食事を楽しめますよ。
ガス缶の取扱い上の注意点
可燃性ガスが入っているガス缶は、いくつか取扱い上の注意点があります。以下の注意点を守り、安全にガス缶を扱いましょう。
- ガス缶とガス器具のメーカーをそろえる
- 輻射熱(ふくしゃねつ)に注意する
- 温度の高い車内などに放置しない
- ガスを使い切る
注意点1 ガス缶とガス器具のメーカーをそろえる
「ガス器具」は、同じメーカーの純正品である「ガス缶」の使用が推奨されています。
ガス器具はガス缶タイプが同じでも、メーカーによってバルブやノズルの規格が違います。メーカーが違うと、ガス器具とガス缶が完全にはフィットせず、ガス漏れが起きる危険性は否定できません。
またガス器具の安全性・機能性テストは、同じメーカーのガス缶を使って実施されます。違うメーカーのガス缶を使ったテストは実施されていないため、安全性や機能性に保証がありません。
実のところ、ガス器具はガス缶タイプが同じであれば、違うメーカーのガス缶でも使おうとすれば使えてしまいます。
ただし違うメーカー同士では、正常な燃焼効果が得られなかったり、ガス漏れを起こしたりする危険性はぬぐえません。また、事故が起きた場合にメーカーから補償を受けられない可能性も高くなります。
安全面や機能面を考えて、必ず「ガス器具」と「ガス缶」は同じメーカーの製品を使用することを強くおすすめします。
注意点2 輻射熱に注意する
「輻射熱(ふくしゃねつ)」とは、赤外線によって物体に伝わる熱のことです。直接、炎や熱くなった物体に接していなくても、近くにある物体が熱くなるのは輻射熱の影響です。
この輻射熱に注意しないと、ガス缶が温まり、最悪の場合は爆発する危険性があります。
とくに注意が必要なのが、バーナー本体とガス缶の距離が近い「一体型」のシングルバーナーです。「一体型」で鉄板などの大きな調理器具を使うと、調理器具の底部分がガス缶を覆う状態になり、輻射熱が伝わって危険な状態になります。
対して「分離型」のバーナーは、ガス缶をバーナー本体から離れた場所に設置でき、輻射熱が伝わりにくい状態を作れて安全です。
注意点3 温度の高い車内などに放置しない
ガス缶は温まって破裂や爆発するのを避けるため、40度以下の涼しい場所で保管する必要があります。
閉め切った車内や倉庫は、暑い時期になると気温が40度以上になることがあるので、ガス缶を放置しないようにしましょう。
注意点4 ガスを使い切ってから捨てる
ガス缶の廃棄は、各自治体のルールにしたがっておこないます。
多くの自治体で廃棄の際は中身のガスを使い切るのがルールです。使用期限が過ぎて使いきれない場合は、屋外でガス抜きする必要があります。
また自治体によって使用後に穴を開けるところと、開けないところがあるので確認が必要です。
CB缶とOD缶の違いを知ってキャンプスタイルに合うガス器具を選ぼう!
軽量でコンパクトなアウトドア燃料のガス缶はキャンプを身軽に手軽にしてくれるアイテム。ほかの燃料に比べて扱いやすいので、キャンプ初心者にもおすすめです。「CB缶」と「OD缶」の違いをしっかり理解して上手に使いこなし、さらに快適にキャンプを楽しんでくださいね。