寝袋を洗濯したことはありますか?
目に見える汚れがあったり嫌な匂いでもしない限り、寝袋を洗う機会はあまりないかもしれません。
しかし、寝袋は直接肌に当たるものなので「洗ったほうが良い」です。
とはいえ、「そもそも寝袋って洗えるの?」「洗濯機で洗っていいの?」「乾燥機は大丈夫?」などたくさんの疑問が出てくるのではないでしょうか?
今回は、寝袋洗濯ビギナーに向けて、「そもそもこれってどうなの?」というよくある疑問への回答をはじめ、以下の内容をお伝えします。
寝袋は「正しい洗い方」をしないと、保温性などの機能が低下します。
正しい知識を身につけて、いつまでも快適・清潔なあたたかい寝袋にくるまりましょう。
アウトドアブランドのWAQでは、洗濯機で丸洗いできる寝袋を販売しています。
春〜秋の3シーズンに対応しており、温度調整がしやすい2wayタイプの封筒型です。
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寝袋の洗濯によくある3つの疑問
はじめに上記のような「寝袋の洗濯によくある3つの疑問」にお答えします。
「そもそもこれってどうなの?」という根本的な疑問から解消していきましょう。
【疑問①】そもそも寝袋は洗うべき?
冒頭でも書きましたが、答えは「洗ったほうが良い」です。
見た目は汚れていないように見えても、長い間使っていると皮脂やほこり、水分などが寝袋に付着しています。寝袋で寝汗をかくと皮脂がべったりです。
付着した汚れや湿り気を放置すると、保温力の低下やニオイの原因につながります。ニオイのほかにも、雑菌が繁殖して「虫食い」の原因にもなるので要注意です。
そのため、寝袋は定期的に洗うことをおすすめします。
なお、普段のメンテナンスにおいては、「使用後に必ず陰干しをする(しっかり乾燥させる)」「部分的な汚れは洗剤を染み込ませたタオルなどで部分洗いする」程度の対応で大丈夫です。
【疑問②】寝袋は洗濯できる?
答えは「洗濯できる!」です。とはいえ、ここで押さえておきたいポイントは「洗濯の頻度」です。
寝袋を洗う目安は、「30〜50回(泊)に1回」を目安にしてください。つまり、洗濯をする機会は「それほど多くはない」ということです。
たとえば、平均月2回(2泊)寝袋で寝る人は、年24回になるので、1年間のうちに1回も洗う必要はありません。
キャンプ沼にハマって、平均月に3〜4回(3〜4泊)寝袋を使うようになると、年36〜48回になるので「1年に一度は洗濯しましょう」と考えれば良いです。
ただこれはあくまで「通常時」を前提としています。
使用回数に関わらず「全体的な汚れが目立ってきた」「寝袋のかさが減ってきた」「嫌なニオイが気になる」と、何かしらの不具合が出てきたときは洗い時です。
その反対に、これといった症状がないのに洗濯するのは、劣化につながるのでおすすめしません。
【疑問③】洗濯機や乾燥機は使える?
「手洗いなんて正直面倒だけど、洗濯機や乾燥機は使っていいの?」と、気になる人も多いかもしれません。
答えは「使える!」です。
ただし、注意点があります。それは「使えるかどうかは、素材によって異なる」ということです。
結論からいうと、下記のとおりです。
- ダウンシュラフ → 洗濯機は使えない(使わないほうが良い)が、乾燥機は使える
- 化繊シュラフ → 洗濯機は使えるが、乾燥機は使えない(使わないほうが良い)
いずれにせよ、寝袋についている洗濯表示タグは必ず確認してください。
出典元:「【60秒解説】 50年ぶりに新しくなる洗濯表示」(経済産業省)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/pdf/laundry_symbols_161128_0002.pdf)
寝袋の洗い方7ステップ
ここでは寝袋の洗い方の「基本編」をお伝えします。
前述の通り、洗濯機で洗うことも可能ですが、まずは「手洗い時のステップ」を押さえましょう。
基本は以下7ステップです。
洗濯前の準備として、寝袋のすべてのジッパー、ベルクロを閉める。ドローコードはゆるめる。
バスタブにぬるま湯を張る。
化繊シュラフの場合は中性洗剤、ダウンシュラフの場合はダウン用洗剤を入れる。
寝袋をぬるま湯に浸けたら、手足で優しく「押し洗い」をする。
押し洗いで汚れを洗い出していくと、次第に水が濁ってくる。
ダウン素材の場合、羽毛が折れる恐れがあるので、揉み洗いやかき混ぜたりしながらの洗い方はNG。
濁ったぬるま湯を抜き、再びきれいなぬるま湯を張って、押し洗いしながら入念にすすぐ。濁らなくなるまで何度か繰り返す。
寝袋をぎゅーっと押しながら水気を出す。雑巾のように絞るのはNG。
ある程度脱水ができたら、バスタオルに挟むなどしてタオルドライする。
数日間~1週間、中綿が完全に乾くまで陰干しする。物干し竿を使うときは、コの字に干すと乾きやすくなる。
このときのポイントは「中の繊維や羽毛が均等になるように整えて乾かす」です。
なお乾かす際は、キャンプで就寝時に使用する簡易ベッドの「コット」を使うと便利です。
アウトドアブランドのWAQでは、上記画像のコットを販売していますので、後半にご紹介させていただきます!
完全に乾燥したら、結露や汚れから守るために、撥水スプレーを寝袋全体に満べんなく吹きつける。
これで「寝袋の洗濯」の一連の行程は完了です。
ダウンシュラフの洗い方3つのポイント
寝袋には「化繊シュラフ」と「ダウンシュラフ」の2種類があり、素材によって「洗い方」のポイントが違います。
ここではまず、ダウンシュラフの洗い方のポイントをお伝えします。
ポイント1 「手洗い」がおすすめ
先述した「【疑問③】そもそも洗濯機や乾燥機は使える?」でも触れましたが、ダウンが傷む原因となるため、洗濯機の利用はおすすめしません。
そもそも寝袋の洗濯の頻度は30〜50回に1回と、それほど多いわけではありません。多少面倒に感じたとしてもダウンシュラフは丁寧に「手洗い」をすることを心掛けましょう。
フカフカになった寝袋に包まれればきっと快眠できるはずですよ。
ポイント2 「ダウン用洗剤」を使用する
日常の洗濯で使用している「中性洗剤」とは別に、「ダウン用洗剤」があります。
ダウン用洗剤には、皮脂などの「油汚れ」を落とすための成分である「界面活性剤」が含まれていません。
つまり、油分は落とさない洗剤、ということです。そのためダウンを傷めることなく洗濯ができます。
「ダウンシュラフを洗う際、油分を落とさないことがなぜ大切なのか?」については、羽毛と油分の関係について理解しておくと良いです。
そもそもダウンがあたたかいのはなぜでしょうか?それは、羽毛が「空気の層」を作っているからです。そしてこの「空気の層」を保つために、羽毛には適度な「油分」が必要なのです。
仮に、羽毛に油分が含まれていないと、以下のようになります。
【羽毛が水分を吸収してしまう → カサがなくなる → 空気の層が作れなくなる → 保温機能が低下する】
「水と油の関係」とよくいいますが、ここではこの反発関係が逆にダウンを長持ちさせるためのとても大事なポイントになります。そのため、油分を落とす成分が入っている中性洗剤は使用NGです。
ポイント3 破れやほつれがないかを確認する
洗濯する前に、寝袋本体に破れやほつれがないかを必ず確認しましょう。気づかずに洗ってしまうと、破れが広がり、中綿が飛び出てしまう可能性があります。
中から飛び出て羽毛がどんどん少なくなると、「空気の層」をつくる源である羽毛が減るので、保温機能の低下に直結します。
破れやほつれがある場合は、補修してから洗濯するか、あまりにもひどく傷んでいる場合は洗濯は避けた方が良いです。
化繊シュラフの洗い方3つのポイント
続いて、化繊シュラフの洗い方のポイントです。
化繊シュラフはダウンシュラフほど気を使う必要がなく、基本的には「普通の洗濯」のイメージで大丈夫です。
以下、3つのポイントを紹介します。
ポイント1 家庭用中性洗剤を使用する
化繊シュラフの洗濯においては、普段の洗濯で使用している「家庭用中性洗剤」が使えます。新たに何かを購入する必要はありませんので、その点ダウンシュラフに比べて手入れがラクなポイントです。
ポイント2 洗濯機で洗う場合は「手洗いモード」
化繊シュラフを洗濯機で洗えることはお伝えしたとおりですが、注意点があります。
洗濯機で洗う場合は、「手洗いモード」や「おしゃれ着モード」で洗いましょう。つまり、「優しいモード」で洗うということです。
手洗いであれ洗濯機であれ、シュラフの洗濯の基本は機能性を損なわないために「優しく取り扱う」がポイントです。
ポイント3 絡み防止対策のため「ネット」に入れる
「疑問③そもそも洗濯機や乾燥機は使える?」でお答えした通り、化繊シュラフは洗濯機で洗うことが可能です。ただし、ここでも注意点が一つあります。
洗濯機で洗う場合は絡み防止のため、必ず「ネット」に入れましょう。
「絞るのはNG」と先述したのと同じく、寝袋が絡むと中綿が潰れてしまい、保温性の低下につながります。
ダウンシュラフの乾かし方2つのポイント
「洗い方」に素材別のポイントがあるように、「乾かし方」にもポイントがあります。
まずは、ダウンシュラフの乾かし方についてみていきましょう。
ポイント1 乾燥機の使用OK
ダウンシュラフは、洗濯機の使用は基本NGですが、乾燥機の使用はOKです。季節や天候にもよりますが、むしろ自然乾燥のみだと、完全に乾燥するまで余裕で数日以上が掛かります。
寝袋を干している間は他の洗濯物を干すスペースが狭くなるので、「長期間寝袋に占有されてしまうのは厳しい…!」という人もいるのではないでしょうか?
そんなときは「乾燥機でおおかた乾燥させてしまう」ことをおすすめします。
なお、乾燥機の温度設定は「低温」にしてください。洗濯も乾燥も「優しく」の基本マインドは変わりません。
ポイント2 自然乾燥もして乾かし切る
前の項では、「乾燥機でおおかた乾燥させてしまう」と先述しました。
乾燥機を使ったことがある人はわかると思いますが、衣類などと違って布団・毛布・寝袋などの大物は、乾燥機のみでは意外と完全には乾きません。何度も乾燥機にかければ話は別ですが、その分電気代が高くなるデメリットがあります。
生乾きはカビやニオイのもとになりますので、「完全に乾かし切る」ことがとにかく大事です。乾燥機+自然乾燥の合わせ技で完全に乾かし切りましょう。
化繊シュラフの乾かし方2つのポイント
続いて、化繊シュラフの乾かし方のポイントをご紹介します。
ポイント1 基本は陰干しの自然乾燥
化繊シュラフは、乾燥機だと生地が傷む可能性があるため、できれば「自然乾燥」をおすすめします。
私たちが普段身につけている洋服はほとんどが化繊ですが、繊維の種類によっては「乾燥機にかけたら縮んでしまった!」という経験はありませんか?「生地が傷む」とはつまりそのようなことです。シュラフが縮んでしまったら切ないですよね。
化繊シュラフは「洗濯機は使えるが、乾燥機は使わないほうがベター」です。
この違いはしっかり押さえておきましょう。
なお、自然乾燥する際は「陰干し」です。直射日光は劣化につながりますのでご注意ください。
ポイント2 自然乾燥時はコットが便利
基本編のところで触れましたが、もしベランダなどにそれなりのスペースがあるならば、乾燥用の台として「コット」を利用するのもおすすめです。
コットの上に寝袋の形を整えながら広げ、あとはひたすら自然乾燥するのを待ちましょう。
コットはそもそもの用途が「簡易ベッド」なので、寝袋を広げたときのサイズとピッタリです。さらに、コットで干すことができれば、物干し竿を数日の間寝袋が占領する、なんてこともありませんので空間を効率よく使えますね。
なお、WAQではハイ・ロー2WAYタイプのコットを販売しています。気になる方はぜひ公式ストアをチェックしてみてください。
寝袋の洗濯で効率をあげる3つのコツ
寝袋の洗濯ってなんだか面倒くさそう…と感じている方に、耳寄り情報を3つお届けします。
いつかは洗わなければと思ったまま数か月が経ってしまったという方は、放置してギアの寿命を縮めるぐらいなら、「効率」をあげられる下記3つのことを頭に入れてきましょう。
①洗濯機丸洗いOKのシュラフを使う
最近は「洗濯機での丸洗い可能」なシュラフも多く出てきています。
これは主に化繊シュラフが対象になりますが、「洗濯機丸洗いOK」と謳われていれば、臆せず洗濯機にかけられますよね。
手洗いの場合は時間が掛かります。
洗濯(押し洗い→すすぎ→脱水)から干すまでに最低でも1時間、慣れないと2時間は掛かるでしょう。
行程の中で意外と時間を取るのが、バスタブにぬるま湯を溜める&抜く、という時間です。1回ならまだしも、湯のにごりがなくなるまで数回繰り返すので意外と時間を要します。
洗濯機が使えるシュラフは、洗濯ネットを使って積極的に洗濯機を使いましょう。
アウトドアブランドのWAQで販売している「WAQ DD SLEEPINGBAG」は、洗濯機で丸洗いできて清潔に保ちやすい寝袋です。
コンプレッション式ベルトがついた収納袋一体型のため、洗濯が終わったあとの収納も楽ちんです。
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②コインランドリーを利用する
洗濯機の使用がOKなシュラフは、もちろんコインランドリーでも洗えます。
家の近くにコインランドリーがあるなら、もしくは、日常的にコインランドリーを使っているなら、活用していただいてまったく問題ありません。
ただし、度々書きますが、ダウンシュラフは洗濯機の使用は基本NGのため、コインランドリーも同様にNGです。
コインランドリーでは、洗剤を自分で入れるのではなく、機械にすでに洗剤が仕込まれていることがほとんどなので、中性洗剤の代わりにダウン用洗剤を入れよう!ということができません。
先述したように、ダウンシュラフを中性洗剤で洗うのは絶対に避けなければいけないポイントなので注意してください。
③クリーニングサービスを利用する
ダウンシュラフの洗濯を効率的にしたい場合は、自分の持っている寝袋のメーカーが独自に「寝袋のクリーニングサービス」をやっていないかを調べてみてください。
メンテナンス費は少し高くつきますが、確実且つ安心にメンテナンスできます。
もしくはメーカーに出さずとも、街のクリーニング店でも「寝袋のクリーニング」に対応しているところがあるかもしれません。近所のクリーニング店に問い合わせてみてください。
寝袋の正しい洗い方をマスターしてしっかり手入れしよう
シーズンオフ中に道具をしっかりとメンテナンスすることは、来るべきシーズンインを気持ちよく迎えるためにも大切なことです。
寝袋の使用頻度が少ない人にとっては、通例では年に一回も必要ないかもしれません。とはいえ、年末に大掃除をして新年を気持ちよく迎えるように、毎シーズンオフのタイミングで年一回ぐらいメンテナンスをしておくと、次のシーズンでも気持ちよく使えますよ。
寝袋を洗ったあとは、次のキャンプで気持ちよく使えるように、きれいにたたんで収納袋に保管しておきましょう!
下の記事では、「化繊シュラフ」と「ダウンシュラフ」のたたみ方を、イラスト付きでわかりやすく解説しています。
いつもきれいに収納できない、正しいたたみ方がわからないという方は、ぜひ参考にご覧ください。