キャンプフィールド最大のギアであるテント。快適にキャンプを楽しむには、居住スペースであるテント内の環境が大切です。
テントは生地の素材によって快適さや使い勝手に違いがあります。生地の特徴を知らずに使うと、重くて運ぶのに苦労したり、結露や雨漏りでくつろぎづらくなってしまったりとキャンプの快適さに影響することもあります。
まずはテント生地の素材と特徴を知って、自分のアウトドアスタイルにあったテント選びをしましょう。
ここではテント生地の素材の種類から特徴、メリット・デメリットまでをご紹介します。初心者にもおすすめなテントも合わせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
WAQでは、ソロからファミリーまでお使いいただけるテントを販売しています。ご興味のある方は、WAQ公式ストアをご覧ください。
テント生地の素材の種類は?特徴とメリットデメリット
テント生地の素材には、以下の4種類が挙げられます。
- ポリエステル
- ナイロン
- コットン
- ポリコットン
どの生地もキャンプをするうえでさまざまな魅力を持っています。意外と奥深いテント生地について、楽しみながら知識を深めていきましょう。
「ポリエステル」素材の特徴
ポリエステルは、一般的なアウトドア・キャンプによく使用される人気素材です。
軽い・安い・雨に強いという特徴があり、キャンプ初心者も使いやすいテント生地のひとつです。一般的にコーティング加工されているので撥水性があります。
メリット
ポリエステルは薄手で軽量なので、持ち運びやすく設営も比較的しやすいです。ソロキャンパーや力がない人にもおすすめの素材です。
他の素材より紫外線による劣化もしにくいという耐久性もあります。また撥水性があることで雨をはじきやすく、吸湿性も低いので濡れても重くなりません。濡れたとしても乾くのが早く、カビが発生しにくいといえます。
メンテナンスがしやすいので、はじめてテントを使う人でも扱いやすい生地です。テント生地のなかでも、比較的価格が安いのも手が出しやすいポイントです。
デメリット
化学繊維のため火や熱に弱いです。焚き火で飛んできた火の粉がつくと、すぐに穴が開く可能性があります。焚き火からはある程度距離を離して、テントを設営をする必要があるでしょう。
また、通気性の低さから夏はテント内が蒸し暑くなりやすいです。吸湿性が低いことで生地の表面に水滴がつきやすく、結露もしやすいといえます。テント内の空気を換気できるベンチレーターが設置されていて空気の通り道があるなど、換気しやすい設計のテントを選ぶのがポイントです。
生地の風合いには独特のテカリがあります。人によっては安っぽいと感じることもあり、見た目の好みが分かれる生地といえます。
ポリエステル生地なら「WAQ Paramount Dome」がおすすめ
WAQのドームテント「WAQ Paramount Dome」は、ポリエステル素材の利便性はそのままに、弱点である通気性に配慮された作りが魅力です。
全面メッシュと全開放ができるので、通気性だけでなく開放感も抜群です。
さらに、防水性と遮熱効果があるルーフフライで暑さの緩和と結露の防止まで期待できます。
カラー展開はタン・オリーブ・ブラックの3色展開。自然に馴染むアースカラーで落ち着いた雰囲気のテントです。
ご興味のある方は、ぜひこの機会にWAQ公式ストアでチェックしてみてください。
「ナイロン」素材の特徴
ナイロンは非常に軽量、かつ耐久性が高いため、登山やハイキングでよく使用されます。紫外線に弱く、変色や劣化しやすい特徴がありますが、一般的にコーティング加工されてある程度強くなっています。
メリット
ポリエステルよりも薄くて軽量、柔軟性に優れているため、テントの設営時にピンと張りやすいです。さらに摩擦にも強いのでくしゃくしゃと折り畳んでも傷みにくく、衝撃にも耐えます。ナイロン生地が使われているテントは、コンパクトで撤収しやすいのも最大のポイントです。また、撥水性が高く雨にも強いです。
ナイロン自体は非常に熱に弱いものの、難燃加工が施されている、火に強い「自己消火性」のものが多くなっています。「自己消化性」とは、火が消えた際にそのまま燃え広がらず、自ら消化する特徴があることを指します。
ナイロン素材のテントを選ぶ際は、万が一のときに備えて、火への耐性があるかどうか確認してからテントを選ぶとよいでしょう。
デメリット
素材自体がハイスペックでとても魅力的ではありますが、非常に高価格です。
ポリエステルと比べると水分を吸収しやすく、濡れると重さが増したり乾燥に時間がかかったりするというデメリットもあります。後述する「シリコンコーティング」により、防水性を高めているものもあります。
「コットン」素材の特徴
コットンは長期のキャンプやベースキャンプ向けのテントによく使用されています。熱に強く結露しない、通気性がよく住環境に優れているのが特徴です。コットンのやさしく素朴な風合いを保つため、コーティング加工しないことが多い素材です。
メリット
ナチュラルな風合いが魅力のコットン素材。天然素材の自然な質感を活かすためにコーティング加工があえて施されないのも納得です。コットンには吸水性があるので、ある程度の雨にも耐えてくれます。
厚手で丈夫、火に強いためキャンプの醍醐味ともいえる焚き火がテントの近くで楽しめます。また、高温になりやすい薪ストーブも安全に使えるので、冬場も暖かく過ごしやすいです。
さらに通気性が高いため結露もしにくく、湿気を吸収することでテント内部の湿度が自然に整います。テント内で快適に過ごしやすいので、長期間の使用に適しているテント素材です。
デメリット
綿でできているため重くなります。さらに水に濡れると水分をため込み、非常に重くなるので注意が必要です。
よく乾燥させるなど、しっかりとしたメンテナンスをしなければ、カビが発生しやすくなります。また、コットンの目に汚れが入り込みやすいので、汚れが落ちにくいこともデメリットの一つです。
とくに朝は、露でテント全体が水分を多く含んでいる状態になります。そのまましまうとカビや臭いの原因になるので、よく乾かすための道具や準備を整えて撤収作業を効率よくおこなう必要があります。
「ポリコットン(TC)」素材の特徴
ポリエステルとコットンの「混紡生地」です。「混紡生地」とは、異なる種類の繊維を混ぜて作られた生地のことで、それぞれの素材の欠点を補い、質が向上します。一般的に、コットンに対してポリエステルは「65%〜70%」混ざっていることが多いです。
両方の素材の特性を持っているため、いいとこ取りで扱いやすいのが特徴です。火にも水にもある程度強く、全体的にバランスがいいため、多くのキャンパーから人気を集めています。
前述のコットン素材と同じく、コットンが持つ風合いも魅力のひとつなので、コーティング加工されていないものが多いです。
メリット
コットンの特徴である通気性・吸湿性が備わっていて遮光性も高いので、暑くても快適に過ごしやすいのが最大のメリットです。
ポリエステルが混ざっているためコットンに比べて軽量です。撥水性もあり、軽い雨や霧が発生しても安心といえるでしょう。
また、コットンテントよりも耐久性や防風性があります。火にもある程度強くなっているので、焚き火もテントの近くで楽しめます。薪ストーブの熱や飛んでくる火の粉にも耐えられるので冬キャンプも快適です。
ポリコットンならではのやわらかい雰囲気は、化学繊維のテカリが気になる方にもおすすめですよ。
デメリット
ポリエステルと比べると耐水性が低くなるので、激しい雨や長時間の雨に濡れた場合、雨漏りする可能性があります。
雨などの水分を含むと、コットンと同様に重くなります。カビが発生しないように乾かすなどのメンテナンスが必須です。また、織りムラや汚れはつきやすくなります。
ポリコットン生地なら「WAQ Alpha TC」シリーズがおすすめ
WAQのワンポールテント「WAQ Alpha TC」シリーズは、フライシートにTC素材(35%コットン/65%ポリエステル)を採用しています。
ワンポールで設営しやすく、火の粉があたっても燃えにくいため、テントの近くで安心して焚き火ができます。高い遮光性と通気性がありながら、スカートが標準装備なのでオールシーズン対応できる万能選手。
スカートは巻き上げ可能で、通気性に配慮してあるのもうれしいポイントです。
ソロ・ソロ〜デュオ・ファミリーの3サイズをご用意しています。ポリコットン生地のテントが気になる方は、ぜひWAQ公式ストアをチェックしてみてください。
テント生地のコーティング加工の種類
一般的に、ポリエステルやナイロンの生地に、防水目的のコーティングがされていることが多いです。前述のように、コットン生地には風合いを保つためコーティングがされません。
どちらも時間とともにコーティング材が加水分解するため保管に気をつける必要があります。
ポリウレタンコーティング(PU)
ポリウレタンコーティングは、ポリエステルなどに多く施されるスタンダードなコーティングです。フライシートや生地の裏にコーティングすることで防水効果が付与されます。
時間が経つと、使用の有無に関わらず経年劣化し「加水分解」でベタベタとした質感につながることもあります。
コーティングされているところは、摩擦に弱いのでこすらないのが基本です。湿度が高くなると加水分解が進むので、濡れていたら乾かしましょう。
シリコンコーティング
ナイロン生地にコーティングされているもので、「シルナイロン」と呼ぶこともあります。一般的なナイロンよりハイスペックな素材になります。
シリコンを繊維に染み込ませる方法で、ポリウレタンコーティングよりも防水性・強度が高くなり大雨などの過酷な環境でも安心です。ただし、通気性は損なわれます。
ポリウレタンコーティングと同様に加水分解で経年劣化します。ただし、PeUと表記のあるものは加水分解されません。なるべく長く使いたい場合は、PeU表記があるものを選びましょう。
また、PUと比較して高価です。
テント生地の厚みを決めるのは「糸の太さ」と「織り方」
テント生地の厚みは「糸の太さ」と「織り方」による密度で決まります。厚みがあると耐久性や遮光性が向上し、重さも増えていきます。
重く強い生地のテントがいいのか、耐久性は低いけど軽量がいいのか、バランスをとるか、テントを選ぶ際の目安にしましょう。
デニール
一般的にポリエステルは「糸の太さ」をデニールで表します。例えば「210D」です。
数字が大きいほど太い糸=厚い生地になり、耐久性が高くなります。その分、重量も増えます。
軽さが重視される登山用のテントでは30D、40Dの生地が使われることが多いです。
リップストップ
リップストップは強度の高い糸を格子状に織り込む方法です。もとは軍服やパラシュートのために開発されたものなので、裂けやほつれに強いのが特徴です。耐久性だけでなく、薄く軽いのが魅力。
高密度のものになると水をはじきやすくなるため、雨に濡れるシーンでも安心です。ただし、風通しは悪くなります。
タフタ
タフタは一般的にナイロン素材の織り方を表しており、「190T」といったように表記されます。
ねじった細い縦糸と太い横糸を交差させて作る密度の高い織り方で、数字が大きいほど密度が高くなり、生地の厚み・耐久性・重さが増えます。
タフタの特徴は、通気性が低く撥水性があることです。軽量で硬めの質感なので薄手でシャカシャカとした生地です。
オックスフォード
オックスフォードは一般的にナイロンの織り方を表します。縦と横に糸を2本ずつなど、数本ずつ糸を交差させた織り方です。糸の本数は省略されて「Ox」と表記されることが多いです。
タフタより引き裂きや耐久性が高いので、フロア素材などの摩擦を想定した部位に使われています。厚手でも通気性がよく、シワになりにくいのが特徴です。
テント生地を選ぶときは「耐水圧」も注目ポイント!
日本は雨が多い国です。世界と比べて1.4倍の降水量といわれており、キャンプをする際には雨への耐性(耐水圧)を考慮することも大切です。耐水圧とは、生地に染み込もうとする水の力を抑える数値を表します。
ここでは、テント生地の耐水圧の選び方について解説します。
適切な耐水圧の選び方
大雨などの雨天時は、耐水圧の高いテントが適しています。梅雨時期や長雨が心配な場合は、耐水圧1,500mm〜2,000mmが安心です。耐水圧2,000mmは中雨を防水する効果があります。2,000mm以上になると結露や蒸し暑さの原因になります。
なお、人気を集めているTC素材の耐水圧は300mm〜400mm程度のものが多いです。水分を含むとコットンが膨らんで雨水が落ちるのを防いでくれます。決して雨に強いとはいえませんが、小雨程度であれば安心して過ごせます。透湿性が高いので蒸し暑さを感じにくく、耐水圧1,500mm〜2,000mmと比べると快適な室内環境が魅力です。
また、TC素材は吸湿性があるため結露しにくいのが特徴です。大雨の予報がないときは積極的に活用してアウトドアを快適に楽しみたいですね。
雨漏りが心配な場合は、タープと組み合わせて防水効果を高めるという方法もあります。
下の記事では、テントの上にタープを張って雨などから守る「過保護張り」について解説しています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。
雨でも安心!ほつれや破れに強い「WAQ Paramount Dome」
WAQのポリエステル素材のドームテントは、耐水圧2000mmのシーム加工済みのリップストップポリエステルを採用しています。強度の高い糸が格子状に織り込まれた生地で、引き裂き、ほつれに強く丈夫です。
高密度で防水・耐水性が高く、濡れてからも乾くスピードが早いのでメンテナンスが容易なのがうれしいところ。雨が降りやすい標高の高い山や、梅雨の時期でも安心してキャンプしたい方におすすめです。
キャンプスタイルに合わせて最適なテント生地を選ぼう
テントの個性は見た目だけではなく、生地の種類も重要な要素です。
できるだけ荷物をコンパクトにしたい人と、適度なバランスを求める人、大人数で利用するから重くても丈夫なテントがいい人とでは、選ぶポイントが違います。
異なる素材が持つ特性を理解して、用途に応じたテント生地を選ぶのが快適なキャンプライフのコツ。
実際に利用するシーンや季節を考慮したテント生地を選んで、より快適なアウトドアを楽しみましょう。